作品のつまらなさを感じる瞬間とか[part2]

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今回は『リアル鬼ごっこ3,4,5』についてです。
私は小説版は軽く読んだだけで、前々から気になっていた映画版を第1作目から視聴していった感じです。

『リアル鬼ごっこ3,4,5』

山田悠介原作の小説を映画化した作品で、2012年に一気に公開されたリアル鬼ごっこシリーズ3作目から5作目まで。
リアル鬼ごっこは結構な本数が映画化されていて、2015年版を含めると6作リリースされている。また、ドラマ版などを含めるとその数は2桁をかぞえる。
第1作目から第2作目までと、第3作目から第5作目までは監督が異なるためか、3,4,5作目は新3部作と一部ネット上で呼称されている。

つまらなくなった瞬間

鬼を含めた、キーワードとなる対象がチープすぎると感じた時。

何故つまらなくなったのか

設定が大甘、突っ込みどころがありすぎる
  • 王様
  • 3,4
    王様が売れない芸人に見えてしまいます。
    「監督は王様の愚君さを演出したかったのかな?」とは思うのですけど、なんだかベクトルを間違ってしまったのでは感がアリ。
    テンションがおかしく、服装も王様が身につけるものとは思えないほど作りが安っぽいです。
    5
    真相が明らかになって、B型が鬼ごっこ参加対象になった理由も判明します。
    その振る舞いも戯けていただけであることがわかりました。ただ、なんだか後付けの設定という印象を受けます。

  • リアル鬼ごっこの開催理由
  • 3,4
    開催理由は明らかにされません。1,2を視聴済みの私はがっかり。
    5
    開催理由が明らかになりますし、非人道的な国家事業の末のリアル鬼ごっこ実施といった展開は好みです。
    ただそうなると、3,4の2作の片方は冗長で、不要だったのでは…という印象を強く受けました。

  • 3作通して、衣装が安っぽいです。高校生時代の学校祭の催しを連想させる出来に見えてしまいました。
    実際に作品中でも高校生に殴打されて撃退されているシーンがあります。弱い。
    また、鬼の身の安全はルール上保証されておらず、リアル鬼ごっこ参加者がいくら応戦しても問題はありません。これでは「全員でかかれば負けないのでは?」と感じてしまいますし、誰一人としてその発想に至らない作品中の世界の住人の思考回路が気になります。

  • リアル鬼ごっこ開催中の雰囲気
  • 3作全てに言えるのですが、鬼がどこから侵入してくるのかという点以外は、ホラー作品にとって重要な、醸される焦燥感とか恐怖感が映像から感じられませんでした。
    また、世界情勢などドラマ版では僅かながらも語られていますが、この新3部作では「鬼が外で常にB型を探し回っていて危ない。」の情報しかなく、神の視点である視聴者にその程度しか情報を与えていないためか、逆にリアル鬼ごっこ開催施設が”ハリボテの中に聳え立つ舞台セット”に見えてしまいました。

  • セキュリティ
  • 王国側のセキュリティがザルすぎて、本当に国家を統治している組織なのか疑問に思えてしまいます。
    3,4
    高校生に警備員が負けてしまいます。4人程度では流石に無理があるのでは無いか…。
    5
    王国側は簡単にサーバに侵入され、国家機密であろう情報を主人公側に知られてしまいます。
    他国にいるであろうもっと腕の立つ公務員級のハッカーに、簡単に情報を奪われてしまうではないかと疑問です。奪われた情報を元に、某国から一気に侵略を受けてしまいそうですね。
    また、王様側の本拠地であろう施設が会社員一人で忍び込めちゃうのは、流石に苦笑ものではないでしょうか。セットも何かの廃墟かと思わせちゃう雰囲気で、ミスマッチさが大きいです。

脚本を文字通りに映像にしようとしている

俳優陣の動きが一部辿々しく、映像から緊張している雰囲気が度々失われます。
素人に近い新人俳優を多く起用しているせいかとは思いますが、なんとかならなかったのかと残念さを感じます。
また、脚本が絶対で誰も突っ込みを入れなかったのでしょうけど、部屋に入ってまず目に入るはずのものに気がつかない展開はどうなのでしょうか。

2000年の商業作品とは思えないほどCGが粗い

いくら予算が無いとはいえ、大学生の作品レベルなCGの挿入が多様されています。
王様の放送はおそらくわざとなのでしょうけど、他にも鬼の攻撃時の合成が一部荒かったり、爆弾の爆発が映像の上から乗せているだけだったり。

結局何が言いたいのか

連番が付番されていれば、連作ものとして見てしまいます。
リアル鬼ごっこ3について言えば、やっぱり原作や及第点を超えていた前2作の存在が、リアル鬼ごっこ3という作品を見る目を厳しくしている、と感じます。

ただ、それはそれとして、演出すべき雰囲気を下地として支える世界観設定が必要で、さらに映像作品の場合は”決まった時間制限内で、世界観設定をどれだけ視聴者に魅せることができるか…”という単純だけど、難しい問題を単純に1作品として視聴しただけだとしてもクリアできていないとマズイです。

よく、「続編で語られるよ!」とか「1作だけ見て続編まで断ずるのはおかしい」とか意見を目にします。でも、視聴者が飽きてしまってはそんな意見も意味を成さないように思えます。

おまけ

ドラマ版とライジング3作も視聴しました。

ドラマ版

意味の無い出会いといった冗長さが眠気を誘ったりしますが、全編通して視聴すれば作品として面白かったです。序章を最後に視聴すると、よりよいかと思います。
ただ、やはり新3部作と同じで、設定に舞台セットや雰囲気作りが追いついていない印象を受けました。アニメでやれば良かったのかもしれません。

ライジング3作

リアル鬼ごっこでやらなくても良かった感を受けましたが、作品として突出したものをそれぞれ持っていて、魅力的な3作になっているかと思います。
ただ、やっぱりリアル鬼ごっこでやらなくても良かった感…。