うちの子どもやその友達は、「ロブロックス(Roblox)」をプレイしています。
一見するとただのゲームプラットフォームに見えますが、技術的な視点で中身を覗いてみると、AIの活用やコミュニティの在り方に興味が湧きました。
今回は、ロブロックスの「現在とこれから」について、少し掘り下げて書いてみたいと思います。
「言葉」から「動くもの」が生まれるAIの凄み
最近のロブロックスで一番驚いたのが、AIによる制作支援の進化です。
特に「4D Generation」という技術がベータ版で公開されていますが、これが面白い。
例えば「サスペンションが動く車」といった、物理演算が必要な複雑な3Dオブジェクトを、テキストを入力するだけで作れるようになりつつあります。
これまでは専門的なスクリプトを組まないとできなかったことが、言葉だけで実現できる。開発者のコード提案の受諾率も以前より倍増しているそうで、まさに「作りたい」という気持ちをAIがダイレクトに形にしてくれる環境が整ってきています。
「子どものゲーム」という先入観はもう古い?
ロブロックスといえば「小学生が遊ぶもの」というイメージが強いですが、データの数字を見るとその景色は一変します。
現在、1日あたりの活動ユーザーの約4割以上が17歳以上の層で占められています。
10年前に子どもとして遊んでいた層がそのまま成長し、より複雑なゲームやファッション、社交を楽しむ「場所」として定着しているんですね。
https://www.gamesindustry.biz/roblox-reports-significant-growth-for-2025-hitting-49bn-in-revenue
単なる娯楽というよりは、Z世代やα世代にとっての「デジタルな居場所」としての側面が強くなっているのを感じます。
私はMMORPGの台頭から3D版SNSの登場の可能性を考えていましたが、もしかするとロブロックスがその役割を担うのかもしれません。少なくとも幼児から小学生までの子どもの多くがロブロックスのプレイヤーであるということは、十分にあり得ます。
クリエイターが「職業」として成り立つ場所
うちの子が「将来はロブロックスでゲームを作りたい」なんて言い出しても、「やってみたらいいんじゃない?」と背中を押せそうに思えます。
そう思える理由は、収益化の仕組みが非常に多様化を含めて充実化しているからです。
これは、Youtuberになりたいと言われて納得できるかどうか、というラインに近づいている感覚があります。
以前は「え?子どもの遊び場を作る仕事ってお金になるのかな」という感覚でしたし。
制作コストの低下
AIツールによって、個人や少人数のチームでも、これまでにない高品質なコンテンツを短期間で作れるようになっています。
これはブログ投稿や画像生成、アプリの開発と同様に、アウトプットイメージはあっても、中間スキルの習得時間が障壁となっていた過去を払拭するものだと思います。
英語や基本的な開発経験に近しいものは必要ですが、特有の情報へリーチするまでのある種無駄な時間を大幅に短縮可能なことは、収益化に非常に時間がかかるロブロックスクリエイターとしてのハードルが下がったことを意味しています。
収益の幅
従来のゲーム内アイテム販売だけでなく、広告収入や、さらにはShopifyとの連携による「実物のグッズ販売」まで可能になりつつあります。
https://www.gamebizconsulting.com/blog/roblox-ad-monetization-guide-2026
実物の商品販売ということはメーカー、ブランドとの提携が強化されていくということです。
そこにはお金の流れがあり、企業からの発注を経て、クリエイターとしての報酬を得るルートがあることを示すと考えます。
また広告収入はかつての(あるいは今もですが)ブログ等のアフィリエイト収益を彷彿とします。
個人としてゲームを制作し、そこに広告を貼ってPVや滞在時間によって収益を得られる仕組みは興味深いですね。
還元の強化
2025年にはクリエイターへの還元率も引き上げられましたし、ロブロックス社としてのクリエイターへの態度を感じます。
実際に、トップ層のクリエイターたちはもはや個人の趣味の域を超え、一つの企業のような規模で活動しています。
これは旧態依然とした企業に属さず、志を同じにする仲間と好きなことで仕事をするための仕組みですよね。
世界への広がりと、親として気になる「安全」のこと
ロブロックスの勢いは日本を含むアジア地域でも凄まじく、特にインドネシアやインド、日本などでの成長率は世界でもトップクラスです。
一方で、子どもを遊ばせる身として避けて通れないのが「安全性」の議論です。
親としてもここは気になるところです。
そもそも、親目線でロブロックスとは何か
安全性を語る前に、親目線でのロブロックスが何かを考えると、私は公園を連想します。
公園というところは様々な人が無制限に出入りし、遊び、時として良くないことをすることも可能な場所です。
ロブロックスプレイヤーのお子さんを持つ親御さんは、一度「ロブロックスで普段どういう遊びをしているの」と、お子さんに聞いてみるとわかるかと思います。
彼らは言ってしまえば、(私を含む)かつての子どもたちが公園で遊んでいた遊びのルールをベースとしたゲームを、リアルあるいはネット上の友人としていることが多いです。
おままごと、アスレチック、鬼ごっこ、エアソフトガンの撃ち合い…そういうことを3Dゲーム上かつマルチプレイ環境で遊んでいるに過ぎないわけです。
何が危険なのか
それではそういった環境で子どもが遊ぶことの何が危険なのか。
これは複数ありますが、概ね過去の我々が子どもだった頃の体験の延長にあると考えて良いでしょう。
危険① いじめやモラル不足
ロブロックスは、プレイヤー同士で競い合うこともあり、良くないコミュニケーションとなることは完全には防げないでしょう。
危険② 視力の低下
ロブロックスは、より長い時間を遊ばせようとする施策を入れてきています。眼の酷使による視力の低下リスクは間違いなくあり、門限に等しいプレイ時間の制限を親が与える必要があると考えます。
危険③ 課金トラブル
ロブロックスは、プレイヤーが課金することで一時的にパワーアップできたり、見た目を追加できたりします。
これを手に入れるために親に内緒でクレジットカード決済をしてしまうといったトラブルは考えられます。
また、いわゆる借りパクの問題。
友達間でロバックスというロブロックス内の通貨を「貸す」行為がトラブルのトリガーになるのは容易に想像ができます。
危険④ 小児性愛者問題
ロブロックスでは、子供を手なずけて性加害に及ぶ「グルーミング」等が報告されています。
リアルの公園で言えば、不審者がこれに近いでしょうが、より巧妙化しています。
オンラインにおけるグルーミングとは、性的な搾取や嫌がらせを目的として、大人が子供と信頼関係を築き、手なずける行為を指します。
ロブロックスでは、ゲーム内のチャット機能やフレンド機能を悪用し、時間をかけてターゲットの子供を心理的にコントロールしようとする手口が一般的です。
ロブロックスでよく見られる手口
加害者は、いきなり不適切な要求をするのではなく、まずは「親切なプレイヤー」として近づきます。
ギフト(Robux)による誘惑:
「アイテムを買ってあげる」「Robux(ゲーム内通貨)をあげる」と言って気を引き、恩義を感じさせます。
SNSや外部アプリへの誘導:
ロブロックスの厳しいチャットフィルターを回避するため、Discord(ディスコード)やInstagram、Snapchatなど、監視の目が届きにくい外部アプリでのやり取りを提案します。
「秘密」の共有:
「これは二人だけの秘密だよ」と告げることで、親や周囲に相談しにくい状況を作り出し、孤立させます。
優越感やくすぐり:
「君は特別だ」「他の子より大人びている」と褒めちぎり、承認欲求を満たすことで心理的な距離を縮めます。
ロブロックス社の対策と姿勢
ロブロックスは2026年から、チャット機能を利用する際の「顔認証による年齢推定」をグローバルで導入しました。
https://about.roblox.com/newsroom/2025/11/roblox-requires-age-checks-limits-minor-and-adult-chat
これによって「大人と子どもが不必要に接触しない」仕組みが強化されており、技術の力で安全性を担保しようとする姿勢が見て取れます。
もちろん完璧なシステムはありませんが、こうしたアップデートが継続的に行われているのは取り組みの姿勢を感じます。
一方で安全性を確保するのは、最終的には保護者たる親の責任範囲が大きいでしょう。
まとめ
AIによって誰もがクリエイターになれる道が開かれ、年齢層が広がり、国境を越えてユーザーが集まる。
今のロブロックスを見ていると、ここは単なるゲーム世界ではなく、新しい「ソーシャル・ユーティリティ」に進化しようとしているんだな、と実感します。
技術を追いかける立場としても、親としても、この巨大なデジタル空間が今後どう育っていくのか、引き続き注目していきたいと思います。




